2008年度 大学入学共通テスト 情報関係基礎から#
題材: バブルソート#
if |
else |
elif |
前条件ループ |
後条件ループ |
for |
条件演算 |
switch |
一次元配列 |
二次元配列 |
配列初期化 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
○ |
情報処理学 問題作成部会の見解#
プログラミングを通じた論理的思考力を問う選択問題として出題して、3年目となる。 高等学校でのプログラミング実習量が異なることを考慮し、四則演算や配列操作を中心にして、 与えられた条件や手続きからアルゴリズムの動作を理解する能力を問う方針で作題している。
今回の出題は、バブルソートを用いた「並べ替え」を取り上げた。並べ替えの際には、 単に値だけを並べ替えるのではなく、名前も同時に並べ替えるようにした。 導入部分は、受験者が選択しやすいように、並べ替えの様子を図示してルールが理解しやすいように配慮した。 説明部分の文書量が多いため、受験者が理解しやすいように平易な表現に努めた。 また、処理手順の記述は、特定のプログラミング言語を出題に用いることにより生じる不公平を避けるため、 制限された構文を持つ日本語表記の言語を用いた。
問1#
「並べ替え」の手順の理解を問う導入問題である。 手順の説明に続き、それを実際に用いて4人の並べ替えを行う様子を追跡できることを問う設問としている。
【ア】・【イ】は並べ替えの初期段階に近い部分で、 処理の対象となる人を答える易しい設問であるため9割程度の正答率を予想した。いずれも正答率は予想どおりであった。
【ウ】は並べ替えがある程度進んだ状態で処理の対象となる人を答える問題であり、若干難しいと判断して8割程度の正答率を予想したが、 実際には9割程度の正答率だったため予想よりも受験者にとって易しい設問となっていた。
問題番号 (配点) |
設問 |
解答記号 |
正解 |
配点 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
第3問 (35) |
1 |
ア |
0 |
2 |
はるこ |
イ |
2 |
2 |
あきよ |
||
ウ |
2 |
2 |
あきよ |
問2#
問1で説明した「並べ替え」を実際に手順に変換する方法について考える問題である。 要素を入れ替える手順を問う【エ】~【キ】は予想よりも若干低い7割弱の正答率であった。
【カ】・【キ】よりも【エ】・【オ】の方が低い正答率となったのは、 名前と得点の両方を入れ替える必要があることが理解しづらかったのではないかと考える。
【ク】の二重ループの内側のループの終了条件を問う問題は、5割程度の正答率を予想していたにもかかわらず、 3割弱しか正解しなかった。二重ループで、表全体を走査するような使い方では、外側と内側の両方が固定回数になるが、 今回の設問のようにすべての組合せを試すような場合には、内側のループの終了条件は外側のループ変数を用いたものとなる。 このような形式のループ構造に受験者が慣れていなかったことがうかがえる。
問題番号 (配点) |
設問 |
解答記号 |
正解 |
配点 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
第3問 (35) |
2 |
エ |
0 |
3 |
|
オ |
2 |
3 |
|
||
カ |
3 |
3 |
|
||
キ |
8 |
3 |
|
||
ク |
9 |
3 |
|
||
ケ |
5 |
3 |
|
問3#
並べ替えに必要な比較処理の回数を減らすためのアルゴリズムを示し、 その理解と、手続きへの変換方法について考える問題である。
アルゴリズムの理解を問う【コ】・【サ】は、図から読み取ることも可能であるため、 5割程度の正答率を予想していたが、実際には4割程度となった。また、アルゴリズムを理解していないと正解を見つけられない
【ス】も2割程度しか正解していない。標準的なアルゴリズムをほんの少し変えただけのものであっても、 受験者にとっては難しい問題になってしまうことが分かる。
問題番号 (配点) |
設問 |
解答記号 |
正解 |
配点 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
第3問 (35) |
3 |
コ |
4 |
2 |
|
サ |
3 |
3 |
|
||
シ |
4 |
3 |
|
||
ス |
5 |
3 |
|
第3問の選択率は、昨年とほぼ同じ、約4割台半ばとなった。受験者の学科別に分析すると、 普通科約半数に比べ、工業科約7割、商業科約3割とそれぞれ偏る傾向があった。 これは高等学校段階での既習傾向に要因があると推測できる。
第3問の平均得点率は、5割台後半程度と予想よりも若干低い結果となったが、 成績別の得点率は、ほぼ直線的な傾斜となっており、期待どおりの得点分布を示している。 このように、全体として第3問は、受験者の理解度の差により、ほぼ期待どおりの得点の分布を示す結果となった。